名無しさん様
何から書けばいいだろうか、とにかくあなたにお礼を言いたい。
見知らぬ場所でこうして君に助けられたのは幸運でした。
原因は分からないけれど、こうして身体が入れ替わってしまって、迷惑をかけて本当に申し訳ない。
しかし、私たちはつくづく不思議な縁だね。もし普通に出会えていたら、どうなっていただろう。
一刻も早く学園に戻って授業を進めたい気持ちもあり、ここに留まりたい気持ちもある。自分でも驚いているけれど、きっと名無しさんさんのせいだな。
いつまでも共に過ごせないのが残念だけれど、これからの名無しさんの一日一日が、善きものでありますように。
ありがとう。
土井半助
パソコンには無機質な文字の並んだ手紙が残されていた。いつの間に書いたのだろう。ちっとも気付かなかった。
土井さんがいなくなって2週間が過ぎていた。丁度仕事が忙しい時期だったので、家でパソコンを開くことが今日までなかったのだ。
「今頃、授業してるのかな」
どんな場所でどんな授業をしているのか、想像もつかない。
小さく笑って、キーを打つ。 これから、届かない返事を書くつもりだ。
私の、束の間の恋人へ。