約束の時間を10分過ぎてしまった。
アーケードへと向かう道は人通りが多く、早足が限界で走れそうにない。
5分早く着く予定だったのに、車を停めるのに手間取った。
アーケード周辺にも駐車場はあるのだけれど、どこも満車だった。いつまで経っても入れそうになく、結局少し離れた駅ビルの駐車場に停めてきた。
きりちゃんが、携帯を持っていたらいいのに。携帯を買い与えるのは、さすがにまずいだろうか。まずいよね。
人の間をすり抜けていくと、ようやく薬局が見えてきた。
黒いマフラーを巻いたきりちゃんが、誰かと話している。
まさか不審者じゃないでしょうね、と思いながら近付いていくと、きりちゃんが喋っているのは彼の学校の先輩だった。
食満留三郎君だったかな。
「あ、名無しさんさん!」
私を見つけて手を振るきりちゃんの隣で、食満君が会釈をした。
「こんにちは」
私も会釈する。
「こんにちは。食満君も買い物?」
「はい」
「クリスマスの……」
「わぁあああっ」
という声が後ろから聞こえて、ワゴンに積んであった使い捨てカイロの山が崩れた。
そして、少年が転がった。
「伊作!」
食満君は素早く駆け寄ると、膝を押さえる伊作君の周りに散らばったカイロを拾う。
「何をやってるんだ」
「ごめん、留三郎」
きりちゃんが拾って離さないカイロを奪ってワゴンに戻すのを繰り返す私に、伊作君が頭を下げた。
「すみません」
「いえいえ。怪我、してない?」
「大丈夫です」
きりちゃんが私のコートの袖を、こっそり引っ張った。
「名無しさんさん、伊作先輩は保健委員だから……」
保健委員だから、怪我の心配はいらないのかな。それとも前に聞いた話によれば、保健委員は不運だということが言いたいのか。きりちゃんはそれ以上何も言わなかったけれど、表情を読み取るに、きっと後者だ。
「買い物ですか?」
最後の一つを積み上げて、伊作君が私に訊いた。
「うん。クリスマス会をやるっていうから、プレゼントを買いに」
「ああ、しんべヱの家でやるっていうあれか」
「それっす。食満先輩もいらっしゃいますか?」
きりちゃんの言葉に、食満君は苦笑した。
「いや……しんべヱと喜三太に誘われたが、遠慮しておく」
「ぼくたち……」
コートの袖に引っかけて倒しそうになったトイレ用洗剤の容器を押さえながら、伊作君が言う。
「23日には帰るしね」
「受験生だっけ? 中3だよね?」
私がそう言うと、食満君と伊作君は一瞬目を丸くした。
食満君はダウンジャケットのポケットに両手を入れながら、にっ、と笑う。
「まあ、年齢的にはそうです」
「でもぼくたち、高校までそのまま上がれるので」
「そっか。じゃあ、ゆっくりできるね」
そうですね、と微笑む伊作君の隣で、食満君が携帯を見た。
「伊作、そろそろ行こう」
「じゃあ、ぼくたちはこれで失礼します」
「うん。引き止めてごめんね」
きりちゃんと一緒に、食満君と伊作君に手を振った。