「25日に、きりちゃんを呼んでいい?」
ふと思い出して、ドアを開けた半助君の背中に訊いてみた。
午前5時を過ぎているにもかかわらず、表にはまだ夜の景色が広がっている。
「きり丸を?」
「うん……クリスマスパーティーしようね、って話をしたの。泊めても平気かな?」
「そうか……いいんじゃないか、冬休みだし」
「半助君も来るでしょ?」
半助君は束の間、私から視線を外した。
「遅くなっても構わないなら」
私が小さく頷くと、彼は微笑んだ。
「じゃあ、帰るよ」
「うん。気を付けて」
「寒いから早くベッドに戻れ」
なんとなく肩に乗せているだけだったストールを、半助君は手早く私の体に巻き付ける。そして、彼は私の額にそっとキスをした。
「おやすみ」
もう朝なのに、と戸惑いながら、弱々しく胸の辺りまで挙げた手を振ったが、逃げるように外へ出た半助君には恐らく見えなかっただろう。
金属の冷たさに驚きながら、鍵とドアチェーンをかけると、半助君の気配はすぐに遠ざかっていった。
追いかけたい気持ちを振り払ってベッドに戻ると、とてつもなく寂しくなった。
それでも、25日の夜には半助君に会えることを思えば、少しは気が紛れる。
私が望んでいる形とは違っているけれど、きっと悪くはないはずだ。3人で楽しくクリスマスを過ごせるなんて、十分幸せだ。チキンを買って、他にもクリスマスらしい料理を用意しよう。勿論ケーキも必要だ。どんなケーキがいいだろう。クリスマスの映画を借りてきて観るのもいいかもしれない。
絶対に楽しいクリスマスになる。
そう何度も言い聞かせるのに、どうしても納得しない自分がいる。
半助君とふたりきりで、恋人らしくクリスマスを過ごしてみたい。1日だけでいいから、何よりも私を優先して欲しい。そう考えるなんて、大人気ないだろうか。
「あーもう、分っかんない」
掛け布団の中で転がる。
ベッドからなのか、私からなのか、半助君のシャンプーの匂いがした。
「バカ半助」
呟いて、ぎゅっと目を閉じた。
アラームが鳴るまでもう暫く眠れる。
次に目が覚めたら、25日になっていればいい。そうすれば、これ以上クリスマスに頭を悩ませなくてすむ。